料理にまつわるエピソード(その23)
(※とある男性の手記です)
お袋の味と同じだ・・・!!
付き合って間もない頃、彼女の料理を初めて食べた時の、ぼくの偽らざる感想です。
メニューは、カレーライス。その色合いや、見た目、中に入っている具材などが、小さい頃からお袋が作ってくれて、ずっと食べ続けてきたものとほとんど同じだったことにまずびっくりしました。そして一口食べてみてまたびっくり、味も本当に同じだったのです。正直なところ、ぼくの知らないところで(裏で)お袋と連絡を取って、こっそり聞き出したのではないか?と訝しんでしまったくらいです(お袋にそれとなく聞いた感じでは、全くそんなことはなかったみたいです。というよりよくよく考えてみたら、そもそもその時期はまだ、彼女とお袋は会ったこともなかったんですが)。
とはいえ、お袋の味と同じであるということを口には出しませんでした。女性は、男性が、何につけ母親と比べるのを一番嫌がるものだということを聞いたことがあるからです。
まぁ一言で言うと極めて慣れ親しんだ味で、本当にすごく美味しかったんです。カレーライスって、いろいろなバリエーションがあって、特に中に入れる具材については、人によってまちまちだったりしますよね。お肉はもちろん、にんじんやじゃがいも、たまねぎあたりは定番ですが、それに加えて、れんこん、かぼちゃ、ブロッコリー、これらが入っているところまでお袋が作るものと一緒だったのには、本当にびっくりしたんです。
他に特筆するならば、そのコク。言い方が合っているかどうか分かりませんが、私的に言えば、その濃密度。カレーはよく、一晩置いておく(寝かせておく)とコクが出て美味しさが増す、などと言いますが、彼女の作るカレーは、最初から一晩置いておいたようなコクがあって、本当に濃密なんです。これも、お袋が作るものと同じ。ぼく自身、料理をしたことが全くない訳ではなく、カレーも作ったことがあるのですが、実はなかなか、あのコクは最初からは出せないんですよね。
という訳で、もうお付き合いの初っ端で、彼女はぼくの胃袋を掴むことに成功しました(笑)。実際、その後もいろいろな料理を作ってもらっていますが、どれもこれも本当に美味しい。偉そうに言わせてもらえれば、すべてが及第点です。さすがに全部がお袋と同じ味という訳ではないですし、もちろんぼくも、その都度いちいち比べたりはしていませんが。
ともあれ、最初のインパクト、一口目の強烈な印象で、すべてが決まってしまったような気がするのです(笑)。